シニアと高価格ブランド戦略

キーワード:マーケティング

「思い切ってもっと高く売ってみません?」
そういう提言をすることが多くなった。『プライシング』が
上手く機能していない商品を見ることが多くなってきたからだ。
日本の美学に安くいい質のものを、という文化体系がある。
しかし、その文化のせいで自分を犠牲にしてしまう人が意外に
多い。つまり、商品コストで純粋にプライシングをする人が
日本においては圧倒的に多いようだ。
例えば、原価1万円の商品を30000円で売る。それはどういう風に
売るかを聞くと、一週間相談を受けたうえで一日かけて会場内でイ
ベントを開くような仕事だったりする。
そうすると結局のところ、人件費ばかりがかさみ、労働集約型の
ビジネスモデル&機会費用損失というダブルパンチを受けることに
なる。
それは残念なことである。もう一つの売り手の心理で最近多いのが
「高く売れる商品ではないんですよ」という誤解である。
「なんでですか?」と聞くと「競合はこの位の値段なんです。」
「それなら、競合がやっていない超高級志向をやったらいかがですか?」
「でも、やったことが無いので・・・。」
それはそうである。でも、「やったこと無い」のは当たり前でむしろ
それだからこそ価値になってくる。
「シニアは本当にいいものに対してはお金を払う」。
とすればどんな商品が好きか?まず認識すべきは、シニアにとって
ほとんどの商品は見飽きた平凡な商品であるということだ。
遊びも仕事も教養もほとんどのことはやってきた。だからこそ、
誰も「やったこと無い」ことが面白い。「やったこと無い」から
こそ価格を決めるのは自分だ。その時の発想はコストからのプライ
シングでは無く、その新しいことのブランド創造のためのプライシ
ングにするべきだ。
ブランドを高めるにはまずは断る。これが重要な概念である。普通の
人が入れないvip roomなどだからこそ、行きたい、入りたい、と思う
訳でそうでなければ興味などは無くなる。
リッチな人にニッチな超高級商品を送る仕掛けの一つのキーファクター
に日本人の不得手なプライシングという概念もあるかもしれない。

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