世界に見る富裕層マーケティングの先進事例

キーワード:マーケティング

日経MJが選ぶ「2005年上期ヒット商品番付」の東の横綱に
富裕層マーケティング(お金持ち限定商品、サービス)』が
が選ばれている。大関 「愛知万博」、関脇 「iPOD」を
おさえての、横綱であり、シニアマーケッターとしては当然
抑えておくべきトピックスである。なぜなら、富裕層と
シニア層は近い要素も多いからだ。
では世界ではどんなサービスがあるのか?
ブランド業界のFENDIの施策は面白い。これはFENDIの上客に向けた
サービスなのだが、彼らの富裕層に対するホスピタリティーには強烈
なものを感じる。しかし、それをお話する前に富裕層マーケティング
の難しさ、をお話したい。
富裕層マーケティングの難しい点は、「富裕層に対して普通のサービス
はむしろマイナス」というのが富裕層マーケティング特有の難しさで
ある。富裕層は基本的にあらゆる物欲は満たしているため、あらゆる
一流品によく触れている。そのため、一流品が普通であり、特に新し
さを感じない。そこで、普通のおもてなしは、マイナスになってしまう。
仮に何かのおもてなしをした気分でいても「そんなこと、わざわざした
くない」と思われてしまうのだ。
しかし、企業としてはこの富裕層を何とか捕まえたいという思いがある。
そのため、何とかコミュニティーとしての価値を見出し、コミュニティー
を形成することで、売り上げを上げたい。
そんなときにFENDIの事例は役に立つはずだ。FENDIは超極上のサービス
をすることによって、コミュニティーを形成した。
まず、彼らは海外旅行を無料でプレゼントした。それも、ビジネスクラス
ではない。ファーストクラスだ。しかし、それだけでは富裕層にとっては
『普通』。自分で行くときも毎回ファーストクラスだからだ。
しかし、それだけではなかった。スチュワーデスの制服はFENDI。
機内で飲むシャンパンの裏にはFENDI。グラスにはFENDI。
徹底的にFENDIを楽しめるような形式にした。
その上で、何と開店前日のFENDIのショップにご案内。まだ世界中で一切
売り出されていないようなFENDIのグッズを前日に誰よりも早く買える
ショッピングを展開した。
これは強烈。一流のおもてなしを受けた富裕層は、当然、FENDIファンに
なっているために、たくさんの商品を購入する。そのおかげでファースト
クラス代などはペイ出来てしまうのだ。
富裕層に対してどんな極上のサービスを展開するか?
その「極上」をどうやったら演出できるか、そこが富裕層コミュニティー
成功のキーになるだろう。

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