アクティブシニアと結婚 日英比較

キーワード:シルバーエンターテイメント

日本のアクティブシニアの結婚観は寂しいものがある。一般的
に言われるのは、「夫の片思い現象」である。奥さんは夫が引退
をする少し前からしっかりと引退後の余生に関しての取り組みを
行っているケースが多い。しかし、夫は仕事が無くなって、ようやく
引退後何をしようかを考え出す。そうすると、そこにタイムラグが
生じる。生まれる結果は夫が妻についていく。妻は夫を邪魔モノ扱い
する。そんな構図だ。シニアコミュニケーションの調査にも寂しい結果
が出ている。

50歳以上の既婚インターネットユーザー男女150名ずつに
意識調査をおこなったところ、自分自身にとっての配偶者の
存在は「人生のパートナーとして自分の人生にとって不可欠
な存在」が男性では60%弱を占めだが、女性では30%強と、
大きな差があった。
次いで「今となっては空気のようなものであまり意識しない
存在」が男性で20%、女性で20%半ば、「いい関係を続ける
ため、適度な距離を保つ気を使う存在」が男性で10%弱、女
性で10%半ばとなったことから、女性の方が配偶者への依存
度が低く、必ずしも不可欠な存在ではないことが明らかと
なった。

悲しすぎる結果である。このままでは自分のシニアライフを
悲観してしまいそうだ。そこでイギリスの事例を見てみたい。

2001年の国勢調査によれば、65歳以上のシニア人口のうち
70パーセントの男性が妻やガールフレンドなどのパートナー
と一緒に「カップル」として暮らしているという。一方同じ
年齢層の女性の場合は、60パーセントがパートナー無しで
生活している。その大部分は未亡人であり、女性の方が長生
きであるというのはイギリスでも変わらないから、この結果
は人口推移の点からみれば不思議ではないのかもしれない。
しかし同時にこの調査では、未亡人となった男性の方に「再
婚率」が高いという結果も報告している。イギリス男性にと
って「カップル」という単位は、人生に必要不可欠なものらしい。

カップルという単位。これは素敵ではないか。しかし、イギリスと
言えば離婚率は高いイメージがあるが・・・。

イギリスの離婚率がヨーロッパ一高いとはいうもののシニア世代に
限っては、それはまだ別世界の話。労働人口世代の平均13パーセント
という離婚率に対して、シニア世代の離婚率は2パーセントという
低さだ。そこには、長年パートナーとして連れ沿ったという信頼、
そしていつまでも変わらない人間的魅力への愛情がある。そんな
シニアカップルが、仲良く手をつないでショッピングを楽しんでいる
姿がイギリスの街角のあちらこちらでみられる。

素敵である。やはりお互いがお互いを信頼している空気感がある
カップルは素敵だ。

それでも一度パートナーを見つけたからといっても、最後まで一緒
にいられるとは誰も信じてはいない。だからこそ長い間カップルで
いられるということに、格別の感慨を持つのもイギリス人の特徴。
それはカップル生活が長くなればなるほど、結婚記念日等を大々的
に祝うという傾向に見ることができる。

祝う習慣。カップルという「単位」で何かをする。
それは意外に忘れがちな重要な要素かもしれない。

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