興味を失ってしまった顧客をもう一度振り向かせてみよう。
キーワード:シルバーエンターテイメント
モノの価値が飽和する。それはどの業界にも起きることだ。そうすると
ユーザーが示す反応は「もうそれは聞き飽きたよ」という辟易とした
反応だろう。そうした反応を研究することは実は、シニアが熟練消費者
であることから有効だろう、と私は考えている。
つまり、辟易とした状態にそれを解決出来る仕掛けを仕掛けることが
出来ればその反動の力を逆ベクトルにさせることが出来るかもしれない。
それがモノの価値が飽和した今、ならではの対策なのかもしれない。
アメリカで興味深い話がある。
ミスをプラスにする方法
友人は、顧客の前で「What I Did Over the Holidays」(休暇
中に私は何をしたか)というメルマガを作成してデモをしていた。
この手の内容のメールは、個人が友人から受け取るホリデーカード
の類で、家族や子供の写真などが見られるものであった。
デモ終了後、クライアントのボスにクライアント自身がデモしても
いいか許可を求めてきたので、別に問題ないだろうと思い、ログイン
情報をそのままにして席を立ってしまった。
ボスへのデモ中にクライアントは、テストとしてすべてのオートデ
ィーラーの情報をメール配信システムにアップロードした。クライ
アントは、偶発的に友人がデモで作った HTML メルマガ「What I
Did Over the Holidays」を、そのリスト全部にオートディーラー
の名前付きで配信してしまった。
さて、普通ならこれは完全な配信事故になる。オートディーラが期
待していないコンテンツで、それも、プライベート的要素が強い
HTML メルマガであるため、クレームがさぞかし多く来るものだと
予想されていた。
結果は、予想に反したものであった。
開封率が50%以上あり(米国の業界水準ではいい部類に入る)、
サイトトラフィックも通常の倍に増加した。次のメルマガの開封率も
非常に高いものなった。読者に次にどんなメルマガが届くのだろうか
という期待を抱かせたのだ。
機械的なアナウンスや定型文に辟易としていたユーザーが非常にプライ
ベートな内容に刺激を受け、反応率が急激に上がった、という事例だ。
これは機械的・定型文的なアナウンスに嫌気が指していたユーザーに
対して、プライベート的なメールを送ることで反動を利用することが
出来たということだろう。今回のケースではミスだったが、この会社
では、この反応率の高さに目をつけ、定期的にホリデイに関するニュ
ースを流すようになったという。
熟練消費者であるシニアは当然、この辟易感の王様でもあるだろう。
そうした時に、辟易となっているサービスの真逆のサービスはどんな
ものが考えられるだろうか?
そう考えてみると新しい価値が見つかるかもしれない。