私は使い捨てられた。

キーワード:シルバーエンターテイメント

シルバー・シートというドラマがある。山田太一氏の【男たちの旅路】ドラマの
中の76年2月から土曜ドラマ枠の中のワンストーリーだ。
都内のある老人ホームに入居している男の老人4人組が、真夜中に都電
荒川線の操車場に忍び込み、車庫の中の一台の車両を占拠した。ハイジ
ャックならぬ都電ジャックである。操車場の所長や老人ホームの園長や
ガードマンが説得にあたるが、断固として応じない。やがて夜が明け、
事態は警察沙汰に発展する。――
そのとき、ガードマンのチーフである吉岡(鶴田浩二)が、老人たちの立てこもる車両に乗り込んでいって、彼らと話をする。
silver.jpg
門前「使い捨てられた人間です」
吉岡「いえ――」
門前「あんたもいまに使い捨てられる」
吉岡「――」
門前「しかし、年をとった人間はね、あんた方が、小さい頃、電車を
動かしていた人間です。」
辻本「踏切をつくったり、学校をつくったり、米をつくっていた人間だ。
あんたが、ころんだ時、起こしてくれた人間かもしれない。しかし、
いまは、そんな力がなくなってしまった。すると、もう、誰も敬意を
表することがない。」
吉岡「――」
門前「気の毒だとは言ってくれる。同情はしてくれる。」
辻本「しかし、敬意を表することはない。右手の不自由な役立たずの
じじいに誰が敬意を表するか、と言われるもしれない。しかし、人間は、
して来たことで、敬意を表されてはいけないかね? 
いまは、もうろくばあさんでも、立派に何人かの子供を育てた、という
ことで、敬意を表されてはいかんかね?」
ずっしりと重い言葉だ。今までして来たこと、で評価されるべきことがある。
それは悲痛な叫びだ。
使い捨てられた人間です。
私はその台詞だけで涙が出そうになる。違う。違う、違うんだ!と叫びたくなる。
世の中は、人生は、ただ、老け込み死んでいくために存在するのか?
私という人格は死ぬ、という最終ゴールに行き着くためだけに存在するのか?
違う!!!!!!
最後だからこそ、楽しめるものがある!
年齢を重ねたからこそ、楽しめる幅が広がる!
年輪を重ねたたくさんの知識だからこそ、咲ける花がある!
使い捨てられた・・・を選択せず、「私はようやく高齢者になれた」を選択出来る世界を
私は創りたい!

上へ戻る