商品を売るな。
キーワード:マーケティング
クイズプロデューサーという肩書きを持つ、ウィンビットの弘中氏の
メルマガが面白い。そこで、今回のメルマガの内容を紹介したい。
非常にシニアマーケティングにも応用出来る面白い話題がある。
タイトルをつけるなら、商品を売るな、である。
それまで複写機の現像液を販売する会社だった明光商会だが、
うどんの製麺機をヒントに1960年にシュレッダーを誕生させた。
その頃はまだどんな企業も、
「要らなくなった文書は、ゴミに出せばいいじゃないか。
どうしてわざわざ細かくするの」
という意識だった。
また発売当初は、その意識を覆して売れる社員も少なかったという。
創業者の高木禮二氏は、
「ハードを売っているのではない。ソフトを売っているのだ」と言った。
文書を裁断する機械を買ってもらうのではない、
文書を裁断するというというスタイルを買ってもらう、ということだ。
そのため、シュレッダーのセールスコンセプトを、
「秘密を守りながら、もとが取れる」
とした。
重要文書を裁断して情報管理をしながら、
裁断した紙は古紙屋に売れるというわけである。
このコンセプトが、次第に多くの企業に受け入れられていった。
昭和40年代になると、様々な企業で、
秘密漏洩事件や産業スパイ事件が見られるようになり、
それに伴なって、シュレッダーは爆発的に売れ始めた。
これに乗じて、大手家電メーカーもシュレッダーに参入し始める。
ある大手企業が、
明光商会よりも3分の1も安いシュレッダーを発売し始めた。
営業マンは「うちも安いモノも作らないと太刀打ちできない」と
泣き言を言い始めた。しかし高木社長は譲らなかった。
他社はまだまだ、「ハードを売っている」という発想だった。
まだまだコストと流通で収益がいくら、という計算でできた製品。
そういう発想である限り、絶対ヤツらの機械は売れない。
そのように高木社長は社員を説得した。
その予言どおり、大手メーカーはことごとく撤退していった。
さらに石油ショックが到来し、古紙の再利用の必要性が叫ばれた。
「地球のことを考えるために必要です」
という新しいセールスコンセプトがシュレッダーに生まれ、
明光商会はいっそう飛躍することになるのである。
シュレッダーは、
そのコンセプトが世の中に必要とされ普及した機械である。
高木氏は開発当初から、そのコンセプトを強力に謳ってきた。
機械ではなく、機械のコンセプトが売れていったのである。
自社の商品は、どんなコンセプトを売っているのだろう。
自分の仕事は、どんな価値を生み出しているのだろう。
それを明文化してみよう。
そのコンセプトは、セールスコンセプトにもなり得るし、
PRコンセプトにもなり得る。
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非常に面白い。シニア向けサイトでも、実はこのコンセプトだけが欠落している
形でのサイト構成が多い。「どうやって、儲けるかでしょ?」と、それだけを追求
したサイトは星の数ほどあったし、星の数ほど、没落していった。
実際、失敗したサイトなんて上げだしたら、キリが無い。そして、彼らは決まって
同じフォーマットだ。
シニアの情報ポータルを作ろうとする。専門家をたくさん作り、健康、旅行、お金、
ぐるめ、映画、書籍、で掲示板構成にして、情報も定期的に発行。そして、要するに、
グループインタビューにつなげたり、アフィリエイトをして稼ぐ。
明確なコンセプトは無いのに、ハードだけを売ろうとしている。結果、投資を回収できず、
つぶれる。そんなサイトを日本だけで50は見た。
他社はまだまだ、「ハードを売っている」という発想だった。
まだまだコストと流通で収益がいくら、という計算でできた製品。
そういう発想である限り、絶対ヤツらの機械は売れない。
あなたは商品を売る人か、それともコンセプトプランナーか、どっちだろうか?