ランディングページの成約率を大幅に上げるかもしれない、「購買心理」のまとめ
キーワード:コンテンツマーケティング , ランディングページ最適化
ランディングページのコンバージョンが上がらない。デザインもよく、プロダクトの魅力を十分アピール出来ている気がするのに、なぜかコンバージョンが思い通りに行かない。こんなお悩み、ありませんか?
ひょっとすると、あなたのランディングページに欠けている視点は、顧客が「モノを買う」時の心理かもしれません。
目次
- 購買心理の8段階
- 「注意」を惹き付けて「興味」を持ってもらう
- 「連想」させ、「欲望」をかき立てる
- 「躊躇・ためらい」に打ち勝つ
- ユーザーの決心を揺るがせる「障壁」の存在
- 400円のコーヒーは買うのに100円のアプリは買わないのはなぜ?
- 「確信」から「行動」を早める4つのコツ
- 選択肢を減らす
- 危機感を持たせて急がせる
- 「お試し」を作る
- 「みんなやってるよ」感を伝える
- おわりに:ランディングページはひとつずつ改善しよう
- 参考資料・情報まとめ
1. 購買心理の8段階
デパートで洋服を買う時も、インターネットでモノを買う時も、私たちは一定の心理ステップを踏んでいると言われています。
◆AIDMAの次を行く購買心理
「AIDMA(アイドマ)」という言葉を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。「Attention(注意)→ Interest(関心)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)→ Action(行動)」の頭文字を取ったもので、古くから購買心理の法則として使われてきた言葉です。今ではもう少し細分化されて、このように言われています。
<購買心理の8段階(例:「インターネットでダイエット食品を買う」)>
- 注目(Attention):「最近ちょっと太ったな…あれ、これなんだろう?」
- 興味(Interest):「へえ、なんか良さそう」
- 連想(Remind):「確かにこれなら時間がない私でも出来そう…」
- 欲望(Desire):「これでホントに痩せるなら欲しいな」
- 比較(Comparison):「他のも調べて見てみよう、こっちの方が安いけど、ちょっと信用できない…」
- 確信(Confidence):「やっぱりこっちの方が信頼出来る、これにしよう」
- 行動(Action):「とりあえず1ヶ月分申し込んでみよう」
- 満足(Satisfaction):「1ヶ月で3キロ痩せた!これ買ってよかった!」
※8の「満足」を除いて、「購買心理の7段階」というケースもあります。
接客業では有名な法則でもあり、販売員の研修に使われていることもあります。インターネットで何かを申し込むときも、あなた自身がこのような流れで購買を決めていませんか?今回はこの購買の心理をもとに、ランディングページ改善に活かせるかもしれない要素を拾っていきましょう。
2.「注意」を惹き付けて「興味」を持ってもらう
顧客に知ってもらうための最初のステップ。「注意」「興味」に問題があるケースには、例えばこんなものが考えられます。
- リスティング広告をかけても、クリック数が少ない(注意が引けていない)
- ユーザーのランディングページ滞在時間が非常に短い(顧客が興味を失ってしまう)
◆見られなければ、始まらない
- 広告の文章は魅力的か?「クリックしたい」と思える内容になっているか?
- ランディングページまでの導線に問題はないか?
- ページのデザインは、ぱっと見でキレイ・分かりやすいものになっているか?
- ページのキャッチコピーや最初の文章は大きなカギ。そのまま読み進めたい内容になっているか?
3.「連想」させ、「欲望」をかき立てる
人がモノを買う理由は、「より良い未来」 を手に入れるため。現状にとても満足している人が、何かを新しく買うことはまれです。
◆より良い未来をイメージさせて、買う「動機」を作る
顧客が「足りない・不満足だ」と感じているポイントを想定し、あなたのプロダクトを買うことで手に入る「より良い未来」をイメージさせてあげましょう。
ランディングページでは、このようなものがよくありますよね。
- プロダクトの魅力を分かりやすく説明(例:「◯つの魅力」「△△が選ばれる×つの理由」)
- プロダクトを手に入れた後、どうなるかを説明(例:「3キロ痩せる!」「モテる!」)
- 未来の説明を裏付け(例:体験者の声「ホントに3キロ痩せました!」「彼氏ができました!」)
◆視点はあくまで顧客ベース
ここで気をつけるべきポイントは、「魅力=顧客にとっての魅力」になっているかどうか。
よくある失敗例として聞くのが、下記のようなもの。
- 企業側が「自分の言いたいこと」をひたすら言っている(ユーザーの知りたいことではない)
- 説明が長すぎる(ユーザーが離脱する、一部LPは敢えてくどく説明しているものもありますが)
顧客が本当に知りたいことが、コンパクトに分かりやすく伝えられているかをチェックするようにしましょう。
4.「躊躇・ためらい」に打ち勝つ
顧客に「買いたい」という気持ちが湧いたとしても、すぐに買ってもらえるわけではありません。インターネット上の場合は更にその傾向が強いでしょう。顧客はたいていの場合躊躇をし、他の選択肢を探し始めたり、場合によっては諦めたりしますよね。
4-1. 顧客の気持ちを揺るがせる「障壁」の存在
プロダクトが高額であったり、無料プロダクトでも自分の大切な個人情報を渡さなければいけなかったり、顧客が買うのをためらっている時には何かしらの「障壁(リスク意識)」が存在しています。障壁を感じると、顧客は「探したらもっと良い物があるかも」と比較を始めたり、場合によっては「やっぱり要らない」と思うことでしょう。
◆買う「動機 」が「障壁」を上回るように
ページヘのアクセスも滞在時間も悪くない。興味を持っている人が一定数いそうなのに、コンバージョンにつながらない。こんな場合には「障壁を下げる」か、その「障壁」を上回るだけの価値があることを見せ、「買う動機を強める」か、どちらかの方向を検討してみるのが良いかと思います。
- 障壁を下げる(例:競合より価格を下げる、問い合わせフォームの項目を減らす)
- 買う動機を強める(例:競合にはないオリジナリティを伝える、「今なら◯◯」「限定××」など顧客の背中を押す策を打つ)
躊躇している顧客を安心させ、比較している顧客を納得させることで、彼らの気持ちを「確信」に変えて行きましょう。
4-2. 400円のコーヒーは買うのに100円のアプリは買わないのはなぜ?
ここで「比較」について、一つ面白い心理の話をご紹介しましょう。数年前の話になりますが、Dan Arielyというアメリカの心理学者が、とても興味深いトピックをブログに紹介していました。
We are perfectly willing to spend $4 on coffee (for some of us this is a daily purchase), or $500 on devices that you can argue we don’t really need. However, when it comes to buying digital items, such as apps, most of which are priced at $1, we suddenly get really cheap. Why?
「私たちはコーヒーを買うのに4ドルを何の惜しみもなく使うし(毎日買っている人もいるし)、本当に必要かどうかも分からないデバイスに500ドル払うこともある。なのにデジタルアイテム、例えばアプリを買うとなると、大体が1ドルくらいなのに、いきなり私たちはケチくさくなる。なんでだろう?」
◆モノの価値は、カテゴリごとに比較される
その理由として、Danは次のように述べています。
The first is that we are anchored by the price of categories, so when we think about lattes, we compare only across beverages.
(第一の理由は、私たちがモノの「カテゴリ」ごとに価値を判断してしまう先入観を持っているから。ラテの値段を考えているときは、私たちは「飲み物」の中でしか比較しない。)
ラテを買うかどうかを判断する時、私たちの頭の中をよぎるのは、他の飲み物。もしくは他のカフェのラテでしょう。カフェにいくとコーヒー1杯に500円以上することもあり、カフェ好きなあなたなら「ラテに400円払う」ことにあまり抵抗を感じないでしょう。
一方、アプリというカテゴリには、余りにも沢山の「無料アプリ」が存在しています。クオリティの高いものも多く、アプリが無料であることに慣れてしまっている人も多いでしょう。そのため「アプリにお金を払う」という事自体に抵抗が生まれ、「アプリに100円も払う?高すぎ!」となってしまうのです。その日の飲み会で5,000円を使い、使うかどうかも分からない新しいカメラを30,000円で買う予定があっても、そのおかしさに気付かない限り、私たちはカテゴリごとの価値判断を続けています。
◆価値の高いプロダクトも、顧客がその価値に気付けていなければ売れない
あなたが「こんなに価値があって、たった500円なのに、どうしてみんな買ってくれないんだろう?」と悩んでいたとしたら、「顧客が500円を払うことに慣れていないカテゴリ」に属しているのかもしれませんね。
もし顧客が価値に気付けていないのであれば、「500円」という値段がいかにお得なものかを伝える努力が必要です。「今日のコーヒーをガマンするだけで」素晴らしいプロダクトが手に入ることに気付かせてあげましょう。
5.「確信」から「行動」を早める4つのコツ
話を戻します。購買を心に決めた人であっても、放っておけば「明日でいいや」「今度にしよう」と行動を後回しにするケースがよくあります。ランディングページでも、実はこの最後の最後のステップが、コンバージョンを大きく左右しています。裏を返せば、ここを改善するだけで効果が現れるランディングページも少なくないはずです。
「鉄は熱いうちに打て」顧客が今すぐ行動すべきと思える「動機」をしっかり作っておきましょう。
5-1. 選択肢を減らす
ハーハードビジネススクールで教鞭を取っているMichael Wheelerが「交渉術」を語る中で、「選択肢削減の法則」というものについて触れています。
さまざまな可能性のなかから一つを選ぶことは、贅沢な行為であるが、かえって迷いやストレスの原因となることもある。
合意形成を早めたければ、選択肢は戦略的に絞り込むのが賢いやり方だ。
好意余って「資料請求のボタンを作ろう、電話番号も書いておこう、メールアドレスもお問い合わせフォームも両方載せておこう」などと余りに多くの選択肢を与えると、顧客は逆に迷ってしまいます。「申し込みはこうすれば良いのか」と、誰もが分かる導線作りを意識しましょう。
例1:Evernote
EvernoteのLanding Page。「新規登録」のボタンが目立つように設置されていて、新規ユーザーが迷わないようになっています。
例2:Yahoo!プロモーション
Yahoo!プロモーションのLP。色々なステージの潜在顧客がいるとしても、選択肢は3つくらいに絞っておいた方が良さそうです。
5-2. 危機感を持たせて急がせる
“Urgency(緊急性)”と”Scarcity(危機感)“と呼ばれる心理を利用した方法。かなり耳慣れたものばかりですが、顧客がすぐに買う「動機」を高めるためには非常に効果的な手段です。
<例>
- 今なら◯◯%OFF!
- あと××時間!
- 限定△名!
- のこり◇席
例:楽天市場タイムセール
楽天市場の、日替わり時間限定のセール情報。秒単位でカウントダウンがされ「その時間にサイトを見なきゃ」「その時間に買ったらオトク」と、ユーザーの買う動機を強めています。
5-3. 「お試し」を作る
“Try before you buy(試してみてね)“という、こちらもよく見る方法ですよね。有料のサービスの場合には、「障壁」を下げ、顧客を安心させる手段として効果的です。
<例>
- 初月無料
- 無料サンプル・立ち読み
- 1週間までなら返却OK
- 効果がなかったら全額返金
例:WiMAX
WiMAXの15日間無料トライアル。トライアルのためのデバイス送料なども一切かからず、購入を検討しているユーザーにとってはかなり有難いプロモーションといえます。
5-4. 「みんなやってるよ」感を伝える
“Social Proof“と呼ばれる原則で、「みんながやっている」ことは人間安心しやすいものです。みんながシェアしている記事は自分もシェアする。人混みの中、一人の人が空を見上げていても他の人は気にしないけれど、10人の人が空を見上げていたら、ついつい自分も見上げてしまう。そんな心理を利用したものです。
<例>
- ◯万ダウンロード突破
- あなたは10,395番目のお客様です。
- △△賞を受賞しました
- 体験者の声、有名人の起用
例:Eight
名刺管理アプリのEight。「50万人が使う名刺管理アプリEight」というキャッチコピーで、新たに加わるユーザーにも「このアプリって人気なんだ」「じゃあ私もやろう」という安心感を与えています。
6.おわりに:ランディングページはひとつずつ改善しよう
いかがでしたか。今回はランディングページ改善のヒントになるかもしれない「購買心理」についてご紹介しました。何かみなさんのランディングページをより良くするための要素が入っていれば幸いです。
最後にひとつだけ。ご自身のランディングページを改訂していくとしたら「一つずつ試していくこと」をオススメします。
「善は急げ」と一気にあちこち変えてしまうと、効果が上がってきたとしても「何が原因で効果が上がっているのか」が分からず、逆に実は逆に効果が下がってしまった場所があったとしても、気付くことが出来ません。
焦らず、ABテストを何度も繰り返し行なってみてくださいね。