プロクルステスデザイン
キーワード:インターネット
今日のテーマはギリシャ神話に見るシルバーエンターテインメントだ。
林に迷い込んできた旅人がいた。旅人は宿を見つけ、そこで仮眠を
することにした。その宿主はプロクルステス。彼は旅人を鉄のベッドに寝かす。
しかし、そのベッドには「大いなる秘密」があった。
ある日、小さい体の旅人がやってきた。
旅人の体は小さく、ベッドのサイズには合わなかった。
旅人はプロクルステスに体を伸ばされ、ベッドのサイズに合わせられてしまった。
ある日、大きい体の旅人がやってきた。
旅人の体は大きく、ベッドのサイズには合わなかった。
旅人はプロクルステスに足をちょん切られてしまった。
プロクルステスは個々の事情を無視し、乱暴に基準に合わせようとしてしまった。
このギリシャ神話からユーザビリティーが悪いデザインのことを「プロクルステス
デザイン」と呼ぶ。
ユーザビリティーの発想の起源はUser-Centered-Designだ。
顧客を中心としたデザイン、ということだ。
しかし、なんとDesign-Centered-Designをするデザイナーが多いことだろう。
もちろん、デザイナーと初心者との間には開きがあり、disease of familiarity
(知りすぎることの弊害)があるとはよく言われる。だが、プロクルステスデザイン
になってしまっては、顧客が減っていくのは間違いない。ぴったしサイズの顧客
のみに注力するのか、それともあらゆる顧客を受け入れるのか?webの場合、
多くは後者だろう。嫌な客を断る、という概念はあるが、それも客がたくさん
来てくれるシステムがあるからこそ。ホームページから来客が減る、ような施策は
いけない。
しかし、もう一方の問題もある。
それはusabilityとlikabilityは相関していないことが多いということだ。
例えば、人気コンテンツであるdisney.comはuservilityが低いと言われる。
usabilityとlikabilityの並存はなかなか注力されてこなかったのだ。
それを解決する手法、それがシルバーエンターテインメントのロジックである。
usabilityのノウハウ本は多いし、それを専門に行う業者も増えてきた。
しかし、usabilityだけではリピーター率を上昇させることは出来ないのは
明白だ。そのサイトが使いやすいからそこにいく訳ではない。
使いやすくて楽しいからそこにいくはずだ。
usabilityを上げる作業は常識にした上で次のステップ。
それがシルバーエンターテインメントだ。