今さら聞けない!企業と個人を守る「ソーシャルメディアポリシー」作成で役立つ10のポイント
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なぜソーシャルメディアポリシーを作成した方がいいのか?
今やソーシャルメディアは、大企業からスタートアップまで、すべての規模の会社において必須のマーケティング手段となりました。自社のサービス・プロダクトやブランドを宣伝し、顧客とつながることにおいては、ソーシャルメディアは大きな力を発揮していると思います。
その一方で、ソーシャルメディアの危険性をしっかり把握しておかないと、ビジネスに大きなリスクが伴うことになります。社員のちょっとした心ない言葉、上司に対する愚痴、冗談のつもりで言った会社の悪口、これら企業内でのソーシャルメディアの管理を怠ると、企業全体の評判・財政状況にまで大きな打撃を与えかねません。
「MetricStream」というコンプライアンス関連のプラットフォームのCEO、Shellye Archambeau氏はこう語っています。
Security and privacy risks, compliance risks, or reputational risks, are nothing new for business. However, the real-time nature of social media means that companies are always just one post away from a potential disaster.
(セキュリティやプライバシーのリスク、コンプライアンスのリスク、企業の評判に関わるリスクは、ビジネスにおいて何ら新しいものではありません。しかし、ソーシャルメディアのリアルタイム性は、企業が「常に潜在的な大惨事の一歩手前にいる」ということを意味しているのです。)
企業がソーシャルメディア運用のポリシーを作ることは、企業を守る意味でも役立ちますが、社員を守る意味でも役立ちます。ポリシーに従う社員が個人として安心してソーシャルメディアを使えるだけでなく、社員(プロフェッショナル)としても積極的に会社のポジティブな情報を発信していけるようにするためにも、分かりやすいポリシー作成を心がけましょう。
目次
◆はじめに:なぜソーシャルメディアポリシーを作成した方がいいのか?
◆「ポリシー」と「ガイドライン」は別物?ソーシャルメディアポリシー作成で意識する「10個のD」
- Define “social media” clearly.
- Distinguish between “guidelines” and “policy.”
- Document your goals and strategies.
- Differentiate between utilities.
- Describe what’s allowed.
- Delineate roles.
- Disclosures are a must.
- Detail disciplinary procedures.
- Disseminate the policy.
- Do your due diligence.
◆ソーシャルメディアポリシー作成で意識する「10個のD」
2012年の記事ではありますが、「Entrepreneur」という海外メディアの「The 10 Ds of Creating a Social Media Use Policy(ソーシャルメディアポリシー作成においての10個のD)」という記事をご紹介します。英語項目のため私たち日本人にとっては少し覚えにくいかもしれませんが、各ステップはとてもシンプルで分かりやすく、綺麗にまとまっていると思います。(以下は記事を翻訳したものをベースに、必要に応じて補足を加えてあります。)
1.Define “social media” clearly.(「ソーシャルメディア」とは何かをしっかり定義しよう)
「ソーシャルメディアとは何か」という根本的な定義をしておくことで、「ソーシャルメディアポリシー」が何について述べているのかが明確になり、混乱を防ぐことが出来ます。
2.Distinguish between “guidelines” and “policy.”(「ガイドライン」と「ポリシー」は別物。区別しよう。)
この2つを混同しないようにしましょう。「ガイドライン」と「ポリシー」は本質的に違います。「ガイドライン」はプロセスをシンプルにしようと試みること、一方で「ポリシー」は内容に従うことを強制する意味合いを持っています。
※補足
とはいえ、ソーシャルメディアポリシーが「強制的で融通の効かないルール集」という訳ではありません。ガイドラインのように誰にでも理解しやすく作っておき、社員がソーシャルメディアを利用する時点では、「当たり前」のこととして頭に刷り込まれているよう教育していくことが大切だと思います。
3.Document your goals and strategies.(ゴールと戦略を、ドキュメントに落とし込もう)
あなたの会社・組織はソーシャルメディアを使うことを選んだのです。その目的や戦略が分かるように、ポリシーの書類上にしっかり記載しておきましょう。そうすることで、会社のソーシャルメディアに対する基本的な原則・スタンスを、ポリシーを読んだ全員が知ることが出来ます。
4.Differentiate between utilities.(Webサービスやネットワーク一つ一つに個別のルールをつくろう)
例えば、Linkedin・Facebook・Twitter・Youtube・Wiki・会社内で使用しているオンラインコミュニティ。これら特定のサービスやネットワーク、リソースに関係するガイドラインやポリシーを作っているのであれば、各サービス・ネットワークの名前を挙げながら、どのポリシーまたはガイドラインが適用されるのか、明記していきましょう。
5.Describe what’s allowed.(何をやってもいいのかを説明しよう)
何が社外秘の情報で、ソーシャルメディアでシェアするのに不適切なのかを説明しておきましょう。運を天に任せて放ったらかしておいてはいけません。この点については、とにかく事細かに明記しておくことに労をいとわないようにしましょう。
※補足:
個人の表現の自由と、会社の機密情報保持は、よくトラブルや論争になります。「何がダメなのか」をしっかり明記しておくことで「何が大丈夫なのか」を明らかにして、社内の人々がストレスなくソーシャルメディアを利用できるようにしましょう。
6.Delineate roles.(役割を明示しよう)
誰が会社を代表して発言をする権利を持っているか、持っていないかを明確にしましょう。ソーシャルメディアを通して発されるべき機会や問題について、社内の誰に知らせればよいのか、指揮命令権系統を明らかにするようにしましょう。
7.Disclosures are a must.(必要な情報の開示はマスト)
社員がソーシャルメディアを利用していて、ひとりのプライベートな個人として、会社・業界のことにコメントをするのを許可しているのであれば、ポリシーの中に注意事項を明記しておきましょう。例えば、個人としての発信については「これは私個人のブログです。ここで書かれた全ての意見は私個人のものであり、私が所属する現在・過去の企業を代表するものではありません」などと添えるように提案するのも、ひとつの方法でしょう。
8.Detail disciplinary procedures.(規則を破った場合の罰則を具体的に記載しよう)
もしルールが守られなかった場合には何が起こるのかを記載しておきましょう。もちろんですが、具体的に書くようにしましょう。
9.Disseminate the policy.(ポリシーをしっかり広めておこう)
ポリシーを、現在の社員はもちろん、新入社員や最終選考に残っている人にも渡しておきましょう。社員手帳・ハンドブックが会社である場合には、ソーシャルメディアポリシーを入れておきましょう。
10.Do your due diligence.(法的な調査をしっかりしておこう)
ポリシーの最終下書きが出来上がったら、弁護士に送りましょう。労働関係の法律に抵触しているルールがないかどうかのチェックを怠らないようにしましょう。
おわりに:ソーシャルメディアポリシーが出来上がったら
折角作ったポリシー、形だけで終わってしまっては意味がありません。出来上がった後は、社員を教育する時間をしっかり確保するようにしましょう。
どうしても自社で作る時間がない場合には、テンプレートなどを使用しても良いかもしれませんが、基本的には「社風に合った、シンプルなもの」を自社で作成することをお勧めします。(社風に合わないと、すぐに形骸化しがちです)
ソーシャルメディアの利用を禁止するのではなく、奨励しつつ、プロフェッショナルと個人としての使用はきっちり分けさせる。良いソーシャルメディアポリシーを作っておけば、リスクが低減し、ソーシャルメディアの良さがもっと活かされるはずです。社内のソーシャルメディア利用で頭を悩ませている方は、導入またはこれまでのポリシー見直しをしてみてはいかがでしょうか。