平均年齢73歳の企業
キーワード:世界の事例
高齢者に対してモノを売る、というアプローチだけではなく、
積極的に仕事にかかわってもらうことや、一緒にビジネスを
することによっても大きな可能性は生まれるかもしれない。
村田アソシエイツ
米国マサチューセッツ州ニーダム市にヴァイタ・ニードル社
という会社がある。この会社ではステンレス製のニードルと
呼ばれる特殊な部品を製造しており、最近はバイオ企業から
の引き合いが多い。
実はこの会社も35人の従業員の
平均年齢が73歳という
「高齢者活躍企業」である。
だが、注目を浴びているのは、
単に高齢者主体の職場ということではない。
同社で製造するニードルの品質が極めて高く、
価格もリーズナブルで、納期も厳格なことから
業界での評価が高く、
競争力をもった優良企業だということだ。
高齢者主体の職場というと大した作業ができないと
思っているのは、明らかに若年者の偏見だ。
ヴァイタ・ニードル社の従業員は、
皆手先が器用で作業が正確なため、
製品品質が高く、製造ロスが非常に少ない。
また、勤務態度も極めて真面目で勤勉であり、
人格も優れた人が多い。
ほとんど腕利きの職人集団だ。
従業員には週37時間、つまりほとんどフルタイムで
働いている人も少なくない。
だが、人によって朝5時前に出社する人もいれば、
夜7時以降まで残る人もいる。
多様なシニアのライフスタイルにマッチした
柔軟な勤務制度も活力ある職場つくりに寄与している。
最近は戦略の中で高齢者雇用を取り入れる企業も存在する。
例えばIBMのやっておられるシニアに関するコンサルティ
ング業は実際のシニアがメンバーになることで付加価値に
した。
飲食業の世界でも、「心の居酒屋」などは高齢者層を雇用する
ことで中高年が入りやすいような設計にした。
何を持って、付加価値とするか?それは経営者の設計手法によって
決定される。高齢者に働いていただくこと、が純粋付加価値になって
いる時代が到来しつつあるのかもしれない。