団塊世代への辛口コメント
キーワード:マーケティング
作家で秋田公立美術工芸短大学長の石川好さん(60)が東京新聞で団塊の世代に
関する辛口批評を載せていた。
《戦後、自由を謳歌(おうか)した団塊世代は「ビートルズ世代」を自負し、サブカルチャーも堪能した。シニアの新しいライフスタイルをつくってくれるのではないか、と期待を集めている》
でもね、リアリティーがない。彼(僕)らの存在は、日本の景気、経済上の存在でしかない。団塊論もそうだが、イメージだけがふくらみ、期待ばかり先行している。
逆にいえば、青年期を含めそこにしか、日本の経済の焦点が当たらなかったともいえる。次の世代を形成する新機軸が見あたらない中で、大量の裕福な高齢者が生まれる、というイメージを持たれているだけです。
《それでも、旅行や移住、趣味などで大きな動きが起きるとの予測は多い。「第二の人生」指南本なども続々と出版されている。定年を迎えて時間と金を手にしたら、社会を変え得るのではないか》
あり得ないね。何かやる人は、とっくにやっている。六十歳過ぎて、退職してから何かやる? 中にはそういう人がいるかもしれないが、世代論としてはあり得ない。
政治家や企業人を見れば分かる。団塊世代の政治家って、民主党なら鳩山由紀夫とか海江田万里、一つ上で菅直人と仙谷由人。みんな似てるでしょ。自民党だって似たもので、次の世代の安倍晋三になっちゃったわけで、ここにも人材がいない。
企業を見ても、大会社に入って、すごく面白い会社に変えた人や創業した人いる? 下の世代には孫正義(ソフトバンク代表取締役社長)とかいるけど、団塊世代にはいない。
なぜか。バカになれない世代なんだよ。数が多い以外は、世代として取りえもない。大多数の人は、今までどおり優柔不断な生活を続けると思うよ。
そうたいした苦労もせず、老いさらばえていくのが、団塊の世代の末路ですよ。明るい死に方を次世代に示すことですね。
団塊世代に対する期待感は最近特に顕著だが、これに対して辛口コメント
が出る、というのも実は2007年に限ったことではなかった。5,6年前から
定期的に団塊世代に対する絶賛・批評の流れが延々と繰り返されている
気がする。
言いえて妙だな、と思うのは、上の記述の中でも、「逆にいえば、青年期を
含めそこ(イメージ論)にしか、日本の経済の焦点が当たらなかったともいえ
る。」と言う点。つまり、歴史的に団塊世代は批評されて続けている世代
なのだ。
考えてみれば、赤ちゃんのときからベビーブームということで注目され、若き
時にはその独特なファッションや音楽観で注目され、仕事面では高度成長
期の中核として注目され退職が始まる今、団塊の世代はマーケットとして
注目されている。あらゆる世代からあらゆる意味で注目され続けた世代だ、
ということだ。
注目される、ということは注目慣れしているということだ。それが企業のマーケ
ティング活動にも熟練消費者である、ということにもつながる。
そうなると、むしろ、団塊の世代マーケティング攻略ではより全体として捉える
観点よりもニッチな視点で考えたほうが成功しやすいと個人的には思っている。
尊敬する百式の田口さんも以前ブログマーケティングに関して、小規模ながら
熱狂したコミュニティーを見つける手法がより重要、という話をされていたが、
団塊世代マーケティングも似ている。
「彼らはこういう商品がほしいはずだから、売ろう」よりも「小規模ながら熱烈に
ほしいと言っているグループに彼らの希望通りのものを細かいディティールも
整えて渡す。」というアプローチのほうがはるかにいい。そうすることで、当然
味方になってくれやすいからだ。
味方になると、団塊の世代は強い。今、団塊の世代は、皆、同窓会などで
昔の仲間にどんどんあっているからだ。「今、私たちの中でこんなのが流行
ってて・・・」そんな会話が繰り広げられやすくなる。そこから初めて横に広が
る可能性が生まれる。
まずは、熱狂的な人物を探してみよう。
そんな発想で取り組んだら新しい企画が生まれるかもしれませんね。