アクティブシニアと顧客インターフェイス

キーワード:マーケティング

「実のところ、大半の企業にとって顧客とのインタラクションと
それを通じて顧客に提供される経験は、競争優位の獲得に向け
て唯一残されたフロンティアなのだ。」
と、ジェフリー・F・レイポートが「顧客接点をシステム化する」
の中で言っている。それ位、日進月歩、ドッグイヤーな世界になり
つつある、という思いがバックグラウンドにあるのだろう。
つまり、現代はすぐにモノの価値が陳腐化してしまう社会なのだ、
ということだ。
最近、台湾の経営者の間で使われだした言葉がこの論文には載って
いる。それはスリー・シックス・ワン。消費財市場で差別化出来る
特徴と機能、価格を組み合わせた商品を生み出すのに3ヶ月、これ
ら差別化の結果としてマージンを享受できるのが6ヵ月、そして、
その商品が陳腐化した後に過剰在庫を一掃するのに1ヶ月かかると
いうことから「スリー・シックス・ワン」というらしい。
これは商品ライフサイクルが10ヶ月、ということを示している。劇的
なスピード感覚だが、ITがほぼすべての業界に入り込んでいるために
新製品開発やマーケティングがかつてない早さ・鋭さで進んでいる。
さらに顧客はサービスの質に敏感で、かと言ってサービスをすることの
出来る人材自体は不足している。しかし、その一方でインターフェイス
技術、顧客との接点の技術は進化している。例えば、自動レジや、情報
端末の中のカタログなどがその例だ。
となると、インターフェイスに頼る量は必然的に大きくなる。しかし、
ハイテク一辺倒、をこの論文では否定しているようだ。人間の触れ合
いの重要性を評価しているからだが、もちろんそれだけでも駄目で
そんな二元論は時代遅れだ、と切り捨てる。その上でハイテクであり
つつ、ハイタッチなソリューションを、と提唱する。
では、どんなインターフェイスがいいのか。この議論は、シニア市場
開拓にも大いに参考になる。何故なら、シニアは熟練消費者で若者よりも
むしろ、コモディティーに敏感だからだ。
論文では、まず顧客が欲する経験の理解、を提唱する。状況によって、
求められる機能は、機械的作業であったり、情緒的な作業であったりと
変化したりする。その理解があった上で、機械の役割は以下の4つだと
言う。
(1)物理的次元
携帯電話の開発など。
(2)認知的次元
処理速度の乗数的な増加。
(3)情緒的次元
人間の感情への働きかけ。(視覚センサーを通じて顔の表情を読み取るMITの
キズメットなど)
(4)シナプス的次元
顧客の経験にとって重要な他の経営資源との密接な連携。
機械的・技術的な分野をいかに顧客に伝えるか?そこの挑戦はシニアビジネスにとってもキーファクターになっていきそうですね。

上へ戻る