イギリスのAge Discrimination法

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イギリスが年齢差別対策法の制定に動いている。
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イギリスの福祉情報

雇用と職業訓練における年齢差別を禁止するEU指示(European
Employment Directive)に基づいて、英国政府は2006年10月
までに年齢差別対策Age Discrimination法を施行しなければ
ならない。その一環として貿易産業省は、労働現場での年齢差別に
対処するため、あらたな方策を発表した。
従来、雇用者は独自の判断で退職年齢を決めてよかったが、65歳
以下では法的に理由を証明できない限り退職を強制できなくなった。
さらに被用者が65歳を過ぎても勤務を希望する場合、それを雇用者
に要求する権利が認められた。雇用者は同省の決める手続きにそって
その要求を考慮する義務が生じる。
また、政府は2011年に方策の見直しを行ない、退職年齢を廃止すべき
かどうかも検討する。

こういった施策を見るとポジティブな「願い」とネガティブな「不安」
を同時に意識してしまう。ポジティブな願いとしてはこれで本来多くの
ポテンシャルを持っていたシニアの「力」を世の中の社会的利益にして
いくということである。
しかし、逆にネガティブな「不安」としてはこれが結局のところ、天下
りのワンツールに過ぎなくなってしまうことである。もちろん、天下り
をする人の能力も非常に高いことは認めるが、それだけになってしまう
と隠れ蓑的な法律になってきてしまう。
また、現実問題として会社内でコストがかさむシニア層の退職を望む
管理職もいるだろう。彼らにとってはこの法律は頭痛の種になるかもしれ
ない。
私は個人的にはシニアの起業支援的なところの方が面白いと思っている。
アメリカや日本の一部でも施策として発表しているが、シニアの起業家は
社会貢献性を求めたソーシャルアントレプレナーになる確率が高く、
社会的利便性が高い。
こういった政策の中で本当に根幹にあったはずの社会的なミッションや
理念が立ち消えにならないことを祈る。

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