高齢者に、確実に受ける映画。
キーワード:健康・ヘルスケア
「幼なじみの名前が、つぎつぎと涙とともに甦りました」
「こんな映像は、存在しないと思っていました。ただ感激するばかりです」
シニアに、深く感動を与えることのできる映像がある。
例えば、昭和初期ごろの、尋常小学校の勉強風景。
例えば、大正初期から昭和初期にかけての、丸の内周辺のモダンな街並み。
昭和初期のアニメーション「月の宮の王女様」。
これらを、全国の高齢者施設で上映する活動をしているNPO団体がある。
株式会社ナトコがNPO認証を受けて実施している「ナトコの映画館文化事業」である。
この事業の特徴は、ただ古い映像を見せるだけでなく、映像をこまめにとめてシニアに
語りかけることだ。
「皆さんが小学生のときはどんな服を着ていたんですか?」
「お昼はお弁当だったんですか?」
「袴だよ」「私はランドセル買ってもらったな」「私のときはランドセルは無かったな」
同じ時代を生きてきた同士が、映像をきっかけに自らの体験を語り合ったり、
戦争の苦い思い出に涙をにじませたりする。
これは、古い記憶を呼び起こすことが老年期の抗うつや痴ほう症患者にも
効果があるとされる「回想法」という心理療法としても注目されている。
「初めての上映会でのお年寄りの方々の子供のような笑顔があまりに印象的で、
やめられなくなっていまいました」
と語るのは、代表の佐々木隆信さん。
彼はサントリーレッド夕焼け編でTV広告電通賞を受賞したこともある著名な
広告ディレクター。約15年前、取り壊される撮影スタジオで、2000本もの
古いフィルムを発見した。
古いフィルムを修復するのには膨大な時間と手間が必要だったが、それを
高齢者施設で上映するとこれが大評判。
それがきっかけで、本格的な事業としたそうだ。
心理学的に「希望を与える方法」として
○人生において未来のほうが多い若者には、「未来は明るい」と言う。
○人生において過去のほうが多い高齢者には、「あなたの人生は
素晴らしかった」と言う。
とされているが、これにも通じる事業である。
懐かしさをキーワードにした上で、今までの自分を誇り、未来を楽しもうとする心。
それは確実に新たなビジネスに繋がっていく。
エンターテインメントの仕掛け人には努力はつき物。
しかし、そこに笑顔がある限り、きっとエンターテインナーはもっと増えるだろう。
もっともっと笑顔を。
Creator’s NEXTはこのうねりを上げつつあるシルバーエンターテインメントの波の
先陣として、がんばっていきたいと思う。
参考:http://www.natco.co.jp/eigakan.php