高齢者とキャラクタービジネス-プリモプエル-
キーワード:シルバーエンターテイメント
高齢者をターゲットにしたもの・・・は売れず、そうではなく、女性をターゲットにした
ものが偶然、高齢者に売れる、という現象が起きている。
プリモプエルはその例だ。プリモプエル (Primopuel)はバンダイが1999年に
発売を開始した、いわゆるしゃべる人形だ。
フランスのサイトもあり、海外でも人気だ。
2002年のバンダイ社長高須武男氏のインタビューによると、「二十―、二十五歳
くらいの独身OLを対象に開発をしましたが、五十代の主婦層を中心に
支持されています」(「[トップインタビュー]バンダイ社長高須武男氏――長寿キャラ、
大人を虜に」(2002/11/26, 日経流通新聞MJ)とのこと。
もくろみ違いもあってマーケットが広がっている。
女性の感性と高齢者の感性は似ている点が多いと言われる。つい先日、
ファミリーマートのちょppingファミマの記事を書いたばかりだ。
食生活にも似ている点があっただけではなく、かわいいもの、愛くるしいもの、
癒し系にも似ている箇所があるかもしれない。
プリモプエルは私の友達に教えてもらったのだが、こんなエピソードがあるという。
彼女は温泉に入っていると、シニア女性が温泉から出ているところであった。
ふいに、シニア女性がバックからプリモプエルを取り出すと、
「じゃあちゃんとお着替えをしましょうね」と話した。
きちんと、きれいに裁縫されたお洋服を着せて、その女性は温泉を出て行ったという。
高齢者には高齢者の生きてきた独特の時代背景があり、われわれには我々特有の
時代背景がある。
どちらがいいとかということはないが、その時代別に特性があり、その時代だからこそ
出来ること、しやすいことというのは確実に存在している。
今の20代は昔からパソコンに触れているため、むしろITには強いと言われる。
そのように、高齢者にも高齢者独特の「強み」がある。それが裁縫であったり、
他の何かであったりする。
その昔、高齢者に対する施策はバリアフリーが中心であった。しかし、そこから
障害者だけに対する施策だけではなく、障害者と健常者がどちらも使いやすいように、
ユニバーサルデザインが生まれた。
その先に何があるのか?
私はエンターテインメントであると思っている。
ユニバーサルデザイン性は保ちながら、その上で
使っていておもしろい、熱中してしまう仕掛け。これが今後重視されていくことだ。
独自の強みを活かせるように、ただ、ものを与えるのではなく、その場を作る
仕掛け、その独自の強みを発信しやすい仕掛け。
そういったものを考えていく必要があるだろう。