クラウドサービスAWSとcloudnを比較してみました

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Internet and data processing

クラウドサービスには、アマゾンのAWS、グーグルのGAE、MicrosoftのWindowsAzure、NTTコミュニケーションズのcloudnなど様々あります。しかしこれらのサービスはどのような違いがあるのでしょうか。そこで海外の代表的クラウドサービスであるAWSと国内大手のNTTコミュニケーションズが提供するcloudnを多面的な視点から比較してみました。クラウドを選定する場合、シェアだけにとらわれず、個々のサービスのメリットとデメリットを十分に把握して決定しましょう。

目次
1. AWSとは
2. cloudnとAWSの比較
3. まとめ

1.AWSとは

 クラウドサービスには、アマゾンのAWS、グーグルのGAE、Microsoft WindowsAzure、NTTコミュニケーションズのcloudnなど様々あります。AWS・GAE・WindowsAzureは外資系企業が運営しグローバルにビジネスを展開しています。特にAWSは最もシェアが大きく国内の企業も多く採用しています。それではこのAWSとはどのようなクラウドサービスなのでしょうか。
 アマゾンが2006年にITインフラサービスの提供を開始したのがAWSの始まりです。現在では米国・欧州・アジアなどにデータセンターを持ち、グローバルなビジネスを展開しています。
 余談ですが、私は現在AWSを利用しています。各種設定が多少面倒ですがシェアも多く、クラウドといえばAWSというのが担当者の間では常識です。このAWSと国内のクラウドを比較することにしました。国内のクラウドも多数ありますが、国内大手でNTTコミュニケーションズが提供するクラウドであるcloudnを比較してみました。

2.cloudnとAWSの比較

 公開されている資料をもとにcloudnとAWSを比較してみました。クラウドサービスという点では、AWSはIaasでcloudnはIaasとPaasの兼用になっており相違があります。つまりAWSはIaasに特化したサービスです。 コストはAWSは従量課金制度、cloudnは上限付き従量課金制度です。この違いは小規模であればあまり差はありませんが、大規模になると大きな差がでてきます。一例をあげて計算してみましょう。一日に1億PVと想定し、GET/PUTリクエストが月間約30億×2リクエストと仮定します。

AWSの場合、GETが0.0037円、PUTが0.0047円なので、以下の料金になります。

0.0037×30億+0.0047×30億 = 2520ドル
2520ドル × 120 = 302,400円

リクエスト料金だけで約30万円かかり、この他データ転送料も追加されます。一方、cloudnは上限付きです。したがって、規模が大きくなればなるほど、大きな違いがでてきます。

 ハードウェアは両者ともVPCの構築やロードバランサー等のサービスがあり負荷分散および高信頼性があります。ソフトウェアは両者ともに豊富なAPIがありあまり差はないと思います。保守は両者ともログ解析やサポート体制があるようです。データセンターはAWSが米国・欧州・日本を含むアジアに多数あります。Cloudnは東西日本と米国です。

 以上から機能にあまり差はないように見えますが、コストは多規模になるほど差があることがわかりました。その他の違いも検討してみました。

(1)ドキュメントの記載言語
 AWSは主要なものは日本語のドキュメントがありますが、主要でないものは英語のドキュメントです。外国語が得意な人は問題ありませんが、そうでない人は、詳しく調べたい場合などに困りそうです。

(2)SLAの締結
 クラウドはデータをサーバーに預けるのですから、データのバックアップを含む管理が適正でなければなりません。したがって、SLA(Service Level Agreement、サービス水準合意) や立ち入り監査に対応できる方が望ましいのですが、AWSはこれに対応していません。Cloudnは制限付きですが対応しています。

(3)BCP
 情報漏洩・障害や災害などのリスクを回避するためにサーバーは安全な国や場所に置き、BCP(Business continuity planning、事業継続計画)を策定しなければなりません。海外にサーバーを置くのは情報統制できず情報漏洩のリスクがあります。したがって、日本国内の、そして可能であれば離れた地域に置きたい所です。例えば東京の企業は九州や沖縄にサーバーを置いた方がリスク管理になります。東京の企業が東京にサーバーを置いてもリスク分散になりません。AWSは東京にしかデータセンターがありません。これに対してcloudnは東日本か西日本を選択できますので、離れた地域を選択することができ、BCPの観点からは優れています。

3. まとめ

 以上、海外の代表的クラウドサービスであるAWSと国内大手のcloudnを多面的な視点から比較してみました。基本機能はあまり差がないように見えますが、掘り下げて検討すると違いが見えてきます。シェアを重視するならばAWSですが、コストパフォーマンス・ドキュメントの記載言語・SLA・BCPなど多面的に評価するとcloudnに軍配が上がります。
 現在、私はAWSを使用していますが、ここへきてどちらが良いのか決めかねてきました。

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