講談「床下のものしりオババ」-高齢者会を良くする女性の会のシンポジウム全国大会の模様(2)-

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高齢社会をよくする女性の会の一幕に、右桜左桜さんによる講談も行われた。
タイトルは「床下のものしりオババ」。
示唆に富んだお話であったのでここに載せることとする。
あるとことに両親思いの心優しい青年、トメサクがいた。
しかし、そこの国のお殿様は老人が大嫌い。
60歳以上の人間を見つけるとその家族全員を打ち首にするため、皆はそれを恐れ、
親が60を越えると、姥捨て山まで捨てにいった。
あるとき、青年の母も60才となり、もう捨てる必要が出てきてしまった。
仕方なしに、母を担いで山の頂上まで連れていく。
到着し、苦しみながら帰ろうとすると、母に呼び止められる。
「トメサクや。来た道を迷わないようにと、金の目印を山の途中に置いておいた。
目印を元に帰りなさいよ。」
「おお、俺はオカアを捨てるために来たっていうのに、なんてひどい奴なんだ、
俺は。」
そういって、トメサクは泣きながら家に戻りました。
ふと、月を見るとその月を母も見ているのだろうと思ってしまい、
無理やり、元に戻り、母を家に連れ戻す。
そのあとは家の床下に隠し、三度の飯はもちろんのこと、たまに肩でも揉んでやる、
という最大級の親孝行をした。
その頃、隣の殿様が無茶な注文をしてきた。
「灰でつくった縄を持ってまいれ。さもなければ、そなたの国を攻めるぞ。」
すぐにオフレを出して、募集するが、なかなか出来るものは現れない。
トメサクがオカアに相談してみると、、
「造作もないこと。縄に塩水を漬けて火で燃やせばいい。そうすれば、灰でなった縄のように見えるから。」
殿様にそれを持っていくと
「でかした。これは灰でなった縄に間違いない。」
といい、賞金を頂いた。
しかし、ある日、又難題が。
「この石の玉に糸を通せ。さもなければ、そなたの国を攻めるぞ。」
そこには自然に出来たくねくねと曲がった穴があった。これに挑戦するものも多くいたが
やはり出来ない。
そこで一応、トメサクがオカアに相談をしてみると。
「造作もないこと。一方に蜜を塗って、一方からアリをヒモにしばって潜り抜けさせればいい。」
アドバイスどおりやると完成し、殿様に持っていくと
以前の倍の賞金を頂いた。
しかし、さらに又また難題が。
「叩かなくても鳴る太鼓を持ってまいれ。さもなければ、そなたの国を攻めるぞ。」
そんなのは出来るわけがないが、一応、オカアに相談してみる。
「造作もないこと。太鼓の中にアブを入れればいい。そうすれば、
アブが暗闇に驚いて太鼓の音がなるから。」
殿様は「おまえはすごいな」、と言ったあとでこう聞いた。
「これは君のアイディアか?」
「いいえ」
「じゃあ、誰だ」
「オカアです。」
「なぜ捨てない?」
そう問い詰める殿様にトメサクはこう言う。
「年寄りにしかわからないこともあるんです。どうぞ認めてください。」
殿様が、許可すると家という家から老人が出てくる、出てくる。
すごい大量の人数であった。
現代は高齢者の知識に耳を傾けようとするアプローチは少ない。
高齢者の尊厳を認識した上で接しようとすることが少ない。
それはすごく悲しいことだし、何よりも自分が住んでいる社会にとって
デメリットであること。それは結局は自分に跳ね返ってくることをどこまでリアルに
感じられているだろうか。
絵本を読み聞かせる会というものをスープの会なる団体が行ったときに
高齢者が一気に集結したという。
何かをやって見てもらう、のではなく、積極的に関わってもらうこと。
これも一つの楽しみになってくる。
話したい話をしっかりと話して頂き、それをしっかりと聞き、尊敬する。
これも一つのエンターテインメントの道であると思っている。

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