オンプレミスの業務系や基幹系システムはクラウドに移行すべきか

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オンプレミスの業務系や基幹系システムはクラウドに移行すべきかメールやスケジュール等のサービスにSaaS型クラウドを利用している企業は多いようです。しかしオンプレミス(自社所有)の業務系や基幹系システムはクラウドに移行すべきなのでしょうか。一般的にクラウドにすればコストがさがる反面、セキュリティ上のリスクが増すと言われており、クラウドへの移行を断念する企業も多いようです。そこで今回は分析を掘り下げ、多面的な視点からメリットとデメリットを評価してみました。果たしてどちらが良いのでしょうか。

目次
1. クラウド移行のメリット
2. クラウド移行のデメリット
3. まとめ

1.クラウド移行のメリット

 オンプレミス(自社所有)の業務系や基幹系システムをクラウドに移行した場合、次のようなメリットがあります。
• コスト削減
 オンプレミスであればメーカーとの保守契約やサービス運営管理費などの経費がかなりかかります。これに対してクラウドであれば低価格かつ上限付き従量課金により、コストを抑えることができます。
• 負荷軽減
 オンプレミスはスタンドアローンタイプのサーバーが主流のため負荷増大によるサーバーのダウン等のリスクがあります。これに対してクラウドであればロードバランサーによる負荷分散によりサービスを高位安定させることができます。
• BCPの観点
 一極集中型システムの場合、自然災害等に襲われると、サービスが回復できないといったリスクがあります。すなわち、BCP(事業継続計画)の観点から問題があります。しかしクラウドであればサーバーを別の地域に置くことができますので、リスクを回避することができます。例えば東京の企業は西日本にサーバーを置けば自然災害等が発生してもリスクは分散されていますので、BCPの観点から優れていると言えます。

2.クラウド移行のデメリット

 オンプレミス(自社所有)の業務系や基幹系システムをクラウドに移行した場合、次のようなデメリットがあります。
• 信頼性
 業務系や基幹系のシステムは極めて高い信頼性が求められます。クラウドに移行してその信頼性は担保されるのでしょうか。過去のクラウドの不具合を調べてみました。
  2009年3月 WindowsAzure ネットワーク障害により10時間サーバーがダウン
  2009年10月 AWS DDos攻撃により17時間サーバーがダウン
  2011年2月 Google Gmail バグにより19時間サービス停止
 現在では様々な対策が講じられていますが、ビジネス上の甚大な不利益に繋がりかねないため、十分な検討が必要な所です。
• セキュリティ上のリスク
 オンプレミス(自社所有)で完全なローカルネットワークであればセキュリティ上のリスクは少ないです。しかしクラウドはグローバルなネットワーク上のサーバーに置くため、セキュリティ上の不安が残ります。
クラウドは様々な企業がサービスを提供していますが、私が調べたところでは、NTTコミュニケーションズのCloudn では、セキュリティ対策が充実している印象を受けました。Cloudnはウィルス対策・仮想パッチ・アラート等豊富なセキュリティ機能が提供されているようです。
しかし、セキュリティには100%の安心という概念がありません。常に一定の不安は残るのが難しいところです。
• データの管理
 サーバーを外部に置くということは情報の漏えいのリスクがあります。とりわけ海外のサーバーを選択した場合、現地の法令に従うため情報統制できず情報漏洩のリスクもあります。

3.まとめ

 以上、オンプレミスの業務系や基幹系システムはクラウドに移行すべきか検討してみました。クラウドはコスト削減だけでなく負荷分散等のリスク管理やBCPの観点からも優れています。反面セキュリティだけでなく信頼性やデータの管理の面で不安な面もあることは否めません。デメリットだけを捉えクラウドを断念するのはビジネスの機会を失うことになります。メリットとデメリットの双方を比較分析し、デメリットよりもメリットの方が上回るならば、業務系や基幹系システムと言えどもクラウドに移行した方が賢明な判断と言えます。

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