説明書がない携帯電話。
キーワード:プロモーション
説明書が無い携帯電話が発売された。携帯を黒電話にする、というのがコンセプトだと
言う。この電話、なんと、【液晶画面】すら無い。徹底的なシンプル。
それがこの電話の持ち味であり、差別化であるという。
が、しかし、電話番号が表示されないし、アドレス帳登録ができない。
すごく不便ではないか?
「しかしヒアリングの結果、液晶画面があると『漢字やらアルファベットやらがたくさん
表示されて、不安になる』と感じるユーザーもいることが分かった」。
とツーカーSの開発者は言う。又、アドレス帳登録に関しては、基本的に考え方が、
黒電話であるため、手帳で代用出来るという考え方であるらしい。
又、この携帯電話。単純そうで奥は深そうである。
「たとえば、電源の“長押し”ができないユーザーもいる。長く押さなくてはと、
30分ほど押し続けている人もいるようだ」
その対策もしてある。長押し設定ではない。なんとスライド式だ。
確かに、今はもう使い慣れてしまったが、長押しというのは、変な文化だ。
あまり、そういうことをする装置は今までになかった。
電子レンジも、洗濯機も何もかもワンボタンでピッと感覚。長押しなんていうのは
聞かない。長押しなどの機能があるのはむしろゲーム機だろう。
「Bボタンで貯めて~」みたいな文章でよく使われる。
とすると、長押し文化はあまり、シニア層にはないのかもしれない。
面白い着眼点だ。
しかし、そのイベントをこの27、28日に巣鴨で行っている。このイベント・・・は少し、
問題だったかもしれない。今、巣鴨はいわゆる、高齢者を意識させる町である。
ここでのイベントということは、完全に「いかにもな高齢者」を意識させる。
逆説的だが、高齢者は高齢者を意識させられることが嫌いである。
自分の実年齢と、仮想年齢は10歳から20歳近く、違うと言われる。
元気であればあるほど、この傾向は強い。
「なんか、高齢者が使う携帯らしいわね。私はむしろ、若い人が使っているのを使うけど
高齢者にはいいかもね」
のような反応が60代の女性から聞こえてきそうである。
らくらくホンもはじめこそ、高齢者向けと言っていたが、だんだんと「使いやすい
携帯」というようにプロモーションを変更しはじめている。そして、それがヒット
要因と分析する人もいる。
このツーカーSはどうなるのか。ブランドイメージはクリティカルだろうか?
説明書がない携帯電話。このプロモーションは面白かった。このイベントは?
今後もニュースになる度に追っていくが、私は個人的には今回のイベントは
失敗だったのではないか、と思っている。
なんか、ダサそう。そういうイメージはシニアマーケティングを問わず、
マーケッターの共通の敵であるからだ。