20歳から介護保険料を支払うようになる!?

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現在、介護保険制度の見直しの議論の中で、さまざまなことが言われているが、
その中で「被保険者・受給者の対象年齢を引き下げる」ことについての
議論が行われている。
今までは、40歳以上が介護保険料を支払い、60歳以上がサービスを受けていた。
しかし、そうではなく、20歳以上が介護保険料を支払い、
その代わりに20歳以上の人が介護保険サービスを受けれるようにしようと言うのだ。
これに関しては積極的な案と、慎重な案の2通りがある。
今回はその2つの主張を紹介した上で私の意見を述べたい。


⇒積極的な案
「20歳から介護保険にするべきだ」
1.介護ニーズの普遍性(介護を受けるのに年齢なんて関係ないじゃないか!)
「今は、60歳以上が介護を受けるというのが、前提になっているが、それはおかしい。
そもそも、老化するから介護が必要になるという考え方ではなくもっと
普遍的なサービスにするべきだ。
例えば、若くても障害者の場合は介護が必要になるが、介護保険がもらえない。
ドイツ、オランダ、イギリス、スウェーデンなどの欧米諸国では社会保険方式と
税方式の違いはあるものの年齢で分ける制度は無い。
0歳児も含め全年齢を対象に介護サービスを受けれる。日本もそうするべきだ。」
2.地域ケアの展開
「現在、政府は「小規模多機能型のサービスを地域で実施していくこと」を打ち出している。
サービスが年齢や障害種別で分断しては本当の意味でそれを実践できない。
実際に、知的障害者が高齢者を自然に支えていたような事例もある。
こうした可能性に背を向けずに、制度面でも年齢や障害種別を超えたサービスが
地域において提供できるような仕組みにすべき。」
3.財政の安定化(20才以上になったらお金払う人が増えて財政が安定するよ!)
「20歳以上がお金を払うようになれば財政は安定する。
今の現状では今後の急速な高齢化に対応できないかもしれない。
そのために制度の『持続可能性』を高めるため、20歳以上にすべきだ。」
4.障害者施設の推進(もっと障害者を大事に出来るように)
「このような制度改正が行われればもっと障害者用の施設は充実するし、
障害者福祉は向上する。当然、企業などもこの分野に参入し、
長期的な福祉環境も改善されるであろう。」
⇒慎重な案
「20歳から介護保険にしないべきだ」
1.保険料負担の増大
「当然、20歳から39歳の人は今まで払わなくてよかったお金を支出することになる。
ここにはかなりの反発が予想される。
今までに増して、介護保険料や国民健康保険料の滞納が増えるおそれもある。」
2.保険システムになじむのか。
「高齢者の場合と違って、若年層が障害者になるケースは低く、そのようなケースは
誕生時やそれよりも前であることが多い。
この観点から、40才未満の若年者まで被保険者・受給者の対象年齢を引き下げることは
基本的に馴染まないと考える。」
3.そもそもシステム変更が起きたときに現行のサービスで提供するだけで事足りるのか。
「若者と高齢者が一緒になる、ということはサービスを同じにすると成り立たないこともある。
例えば、風呂を入れるときに、風呂介助などをしてもらうとして・・・。
高齢者への対応と若者への対応は変わってくるはず。どうマニュアル化するか、
そこが出来ていないと成り立たない。」
以上が主要な考え方・主張である。
それに対して私はこう思う。
まずは、ユニバーサルデザインならぬ、ユニバーサルサービスを確立することだ。
ユニバーサルデザインとは、障害者、健常者がどちらも使っていて
使いやすいデザインということだ。
それを介護の現場で確立しないことにはそもそも介護制度が成り立たない。
例えば、若者へのお風呂介助と高齢者へのお風呂介助のマニュアル確立が
必要という意見は根本が違う。
どちらにも「尊厳」を持った対応が必要だ。
介護の現場で若者用マニュアルと高齢者用マニュアルが出来てしまっては、
この制度改正は悪改正になると思う。
もちろん、若者には若者のライフステージがあり、高齢者には高齢者のライフステージがあるのは
当然で、それは仕方が無い。
マニュアルを考えるのであれば、若者と高齢者が楽しく幸せに生きていけるような
エンターテインメントをその中に入れるべきだ。
介護される人間は何も我々と違う人間ではない。将来的に我々の延長にあるかもしれない。
言ってみれば自分と何も変わることもない。
その際に必要なのは、この世の中を楽しむことが出来る原動力である。
私はこのエンターテインメントが確立されるような施策が取り入れられるのであれば、
20歳からの介護保険適用にも賛成である。
しかし、その視点が無い限り、私はこの介護のサービスを受けたいだろうか。
私は受けたくない。エンターテインメントの視点が加わった魅力的な介護サービスにすれば、
健常者は少し無理をしてでも日々をがんばることが出来る。
「最後に入れられてしまう劣悪な環境」ではなく、
「楽しんでいるうちに、新たな自分の目標を確立し、巣立つ場所」になること。
これが確立出来ない限り、20歳からの介護保険適用に反対だ。確立できそうなら、賛成。
それが私の意見である。

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