日本レクリエーション片山氏にお会いする。
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今までの福祉事業は、行政が市民に対して提案を行ってきた。
しかし、そうではなく、市民自らがこの街をよくするための方法論を模索するという
アプローチも存在する。
(財)日本レクリエーションでは、「レクリエーション」という観点から
精力的な活動をされている。日本レクリエーション人材開発部プロデューサーの
片山氏にお話を伺った。
「これからの世の中は共同・協調の世の中になるべきです。今までは遊びという観点を
押し付けるところがあった。しかし、遊びを作っていく過程自体が
ひとつの遊びのスタイルになってくるんです。」
そうおっしゃる片山氏のお話は新鮮だ。
たとえば、独居のお年寄りに対して、一緒にお茶でもしましょうよ、と呼びかける運動がある。
そのときに高齢者は自分が地域の役に立っていると感じる。
自分の楽しみの輪が広がっていく感覚。遊べる場を作っていく感覚。
これ自体がひとつの遊びのスタイルになりつつあると言うのだ。
「そういう団体は既に至るところで存在していたんですね。小さい団体ではありますが、
そういう団体に対して外部の機関が素晴らしいと賞賛する。
それだけでこのような活動がもっとクローズアップされていったんです。」
この観点で日々努力されている日本レクリエーション様の尽力は大きい。
高齢者のための事業として今考えているものとしては
「高齢者のためのいきいき健康教室」をあげてくれた。
これは予防介護の観点から、介護レベルが低くなるような活動であるという。
行っていることは、健康体操・軽スポーツ・集団ゲーム・マッサージ・歌などであるが、
ここで重視しているのは「居場所・役割・存在感」である。
その3つを支援するような形で今後の事業展開を考えていると話してくれた。
しかし、一方で苦労もある。
それは、いかにこの事業を数値化するか、という命題である。
やはり、現状ではこの活動の効果を普遍的な形で紹介するのが難しい。
予防介護になります、と言っても、そのデータをうまく伝えづらい。
そうすると、レクリエーション=遊びということで軽視されてしまうという側面も存在する。
その際に一番重要なのは効果を測定し、数値化し、紹介することである。
現在、日本レクリエーション様が取り入れようとしているチェックシートはその試みを可能にしようとする
ものだ。
まずは、プログラムに参加した際の効果を単純身体面だけではなく、
心理面、社会面、健康面という4つの視点から調査し、
「現在の健康状態や体力を維持できると思いますか」などの自信・自己効力感や
「生活にはりがあると感じますか」といった肯定的な感情の把握を重視するとともに、
4分野すべてにおいて「3ヶ月後どうなっていると思いますか」という
未来予想という視点を加えた。
これは非常に興味深い。
実際、データを見ると、教室に参加された人のほとんどは自己採点結果が上昇していた。
また、今までのレクリエーションはネタ探しが重要なファクターであった。
老人ホームなどに行っても何かいいゲームはないか、みたいなお話ばかりを受けるという。
しかし、そうではない、と片山氏は語る。
素材ではなく、それ自体へのアプローチ方法があると。
ネタを集める方向性だと、一回ゲームをやってしまうとそれをもう次にはできなくなってしまう。
そうではなく、そのゲームでどんどんステップアップして、アレンジして楽しむべきだというのである。
日本レクリエーション様では、そのような専門的な指導者の数が既に12万人にもなっている。
「高齢者の楽しみ」を数値化するという手法を生み出した日本レクリエーション。
一回切りで終わらない楽しみ方に力を入れる点。
そこはやはり素晴らしい団体であった。
日本レクリエーション様
取材協力をしてくださった片山様。
貴重な時間を取っていただいて、どうもありがとうございました。